
出典:安部司・種田桂子『もう迷わない「安心な食品」の見分け方』
安部先生が商社の食品課に勤務していた1980年代初頭は、塩分の摂り過ぎが高血圧の原因になると
しきりに言われ始めた時期でした。
それなら塩分を大幅にカットして作れないかと、商品開発をしたのが減塩梅干だそうです。
昔ながらのしょっぱくて酸っぱい梅干は、梅の重量の20%前後の塩を使います。
塩は味つけだけでなく、カビを防ぎ保存したり、色落ちを防いだり、食感を保つ役割もあります。
その塩を減らすためには、流水で梅干を脱塩しなければなりません。
すると、塩分だけでなく梅の自然の風味や酸味、成分も落ちてしまう。
それを補うために、いろんな添加物や人工的な調味料を調合した液に漬けなければならないのです。
味つけは化学調味料、保存はソルビン酸、酸味は酸味料、色落ち防止は酸化防止剤、そして甘味料を加えて舌が〝減塩〟を感じられるようにするというカラクリで減塩梅干は完成しました。
消費者の減塩志向に対応するため、JASで「調味梅干」という規格が認められ、今はこれが梅干の主流になっています。
また、梅干は文字どおり梅を干して作りますが、干さずに梅をそのまま調味液につける「調味梅漬け」
というのもあります。
昔はせいぜい塩分8~10%くらいの減塩だったのに、最近の減塩梅干は3~5%前後。
これでは常温保存は無理。
腐敗を防ぐために添加物をふんだんに入れ、エタノールに漬けているのです。
私にとっては、梅干の形をした添加物にしか思えません。